First update 05/07/04
Last update 05/07/04(工事中)

	・それは秋葉での出会いからはじまった・・・ 　某友人(別項のALL FETプリのオーナー)の依頼で新たなパワーアンプの構想を練っていたある日の秋葉の球パーツ屋の隅でふと見つけたブツが、今回のパワーアンプの心臓部、往年のAC電源金田式ではA級40Wあたりで使われたと思われるタムラのトロイダルトランス・PR-7908Sでした。中古の委託品だったこのトランス、見た目の美しさに一目ぼれして買い込んで暫く鑑賞していたものの、当時のAC電源パワーは、保護回路が心許なく、電気の素人の友人が使うにはいまいち保守面で不安があった事もあり、暫く製作が滞っておりました。 　この状況が一変したのが、一昨年発表された金田先生発表の最新の電源遮断型保護回路です。この回路を使えば、製作者以外の素人にアンプ運用を任せても、事故等の問題無く安全なアンプが出来上がるであろう、という事で重い腰を上げて製作に入る事にいたしました。 　改めて仕切りなおして新アンプの構想を練ったものの、このトランス、電圧増幅部の巻線がAC50V、出力段側がAC30Vという仕様で、購入当時構想していたK134 パラPP MOSパワー(又は奇をてらってJ49パラPP MOSパワー)には概ねマッチングが合うものの、今回製作した大電流ＭＯＳ用としては、いまいち巻線仕様が中途半端(電圧増幅部は電圧が足りなく、出力段用巻き線はちょっと電圧が高い)　になっています。 　又、本命の初段K117の最新回路で旧MOSを使う回路だと、金田先生が手がけておられないため、一から音決め(特に初段位相補正)をしなければならず、製作に時間がかかります。当時、即急に完成させたいとの友人の意向と、友人が使うスピーカー(D-58 フィンランドバーチVer＋FE208ES)の関係で、金田式の中でも、特にドライブ力のあるアンプを使いたい、との考えで、最新の大電流ＭＯＳパワーを使いつつ、今回のPR7908Sが活用出来る回路変更を試みる事にします。今回の試みが成功すれば、大電流MOSアンプを作る上で少しトランス選択の自由度が増すかもしれません・・・
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	・回路詳細 まず最初に試した回路を上にUPします。オリジナルの回路と大きく違うポイントとして、初段カスコードと定電流に初段と同じK117を使用しました。但しこのFET、高gmの割には低Crssで万能型のFETなのですが、どうも使いすぎると特定の音が癖を持つ、というかアンプが「サシスセソ」のきつい音になるような気がしています(当方のFET-Regの項参照)。測定では問題無いので、音色の相性だと思うのですが、今回初段にてんこもりで使っているので、ちょっと懸念しています。定電流回路の電流は、損失を考慮して4mAと抑え目に設定します。gmが下がりNF量が下がるので特性は若干落ちるかもしれません。	一部のスケルトンは皮剥きしないで実装しました。多分自分用のアンプだったら皮剥きしたかも(^^;; もちろん、一度めくって方向性をチェックしてからの実装です。余計な石(K214)と回路が写っていますが、終段K134回路を試そうとした名残りです。N-13TとV2Aは、なけなしの手持ちからの供出です。音的には、TM-7Pが割と使えるので、無理にN-13Tでなくても、と思うようになりました。
	保護回路の部品は(音に関係無いという事で)かなりコストダウンしています(^^;; 1本5円のカーボンのRとか、CもBGNXではなくPKのバイポーラ接続とかですね。A1400の場所は高圧のスイッチング動作で、かつ信頼性を要求される場所なので、出来るだけ同等の物を使いたいですね。	あと、電圧増幅段がオリジナルより低い±70Vという事で、初段カスコードのツェナーに流す電流値がオリジナルと同等になるようにRを調整しました。 保護回路の部分は単行本の下巻に設計法の記載がありますが、重要な点は、出力の振幅によってMOSのVds耐圧を超えないように電圧リミッターの抵抗値を選択する、という事です。これによって電圧が少々オーバーした電源を使用しても、振幅オーバーによってMOSが破壊される事を防ぐ事が出来ます。(一部の方が、終段が耐圧オーバーだ、と金田式回路を勘違いされているようですが、このあたりを理解されてないからだと思われます)。今回の値ですと、No.142の初代UHC-MOSパワーと同じ抵抗値になりました。記事を見るとMAX70Wまでの出力が期待出来るようです。但し、これ以上電源電圧が高くなると、逆に出力が取れなくなり、デメリットが大きくなると思います。 又、保護回路の制御系のRも、若干変更して同等な動作になるように考慮しています。Trは手持ちの関係A1400ではなく
	A1480です。大きさの割に特性が内輪で特にメリットは無いので、新規購入には2SA1400をお勧めします。 　電圧増幅段には、パスコンの0.1uFを復活させました。これは経験上、100V未満の電圧では、パスコンを省略するとアンプの挙動がおかしくなる為です(差動出力を除く)。 入力部がちょっと複雑ですが、汎用性を増すために、スルー入力と、チャンネルフィルター入力の2系統用意しました。フィルターの定数はスピーカーD-55 D-58用に丁度良い8KHzで、音量を絞り込めるように-15dBのATTを組み込んで、トグルスイッチで切り替えます。但し、今のところはCは入れておりませんので、現在の動作はT型-15dBのATTという感じですか。但し、スルー入力が音質優先で直結のため、2系統のプリを繋ぐ事は出来ません。 電源部は上の図の通りで、特に変わったところはありません。使用するケミコンは、100V10000uFはオリジナルと一緒のKMH。電圧増幅段は後述します。保護回路は、電源電圧の変化に合わせて微妙に変えてますが、特にオリジナルのままでも動作は問題無いので、詳細は省略します。 　最新の電流遮断型保護回路はマジに(^^;;お勧めです。今回製作中・製作後にいくつか致命的なミス(テスターの不備による過電流、SPコードでの出力短絡)があったのですが、保護回路が働いたおかげで事故も無く製作する事が出来ました。	MOSとの仮止めには瞬間接着剤を使ってもいいかもしれません。又、熟練の方は、音質が良く無さそうなサーミスタのリード線を、7本練りに取り替えてしまうのも良いかもしれませんね。	▲TOP ●HOME
	画像上の写真の一番上に見えてるのは、50W8Ωのメタルクラッド抵抗を4つ組み合わせて放熱器に据えつけたダミー抵抗。丁度バラックで特性のチェック中です。ロータリースイッチが見えてますが、最初は入力をスケルトンの抵抗ATTとしたためです。プリ使用を前提としてますので、あまり意味が無いと判って、外しました。	・製作詳細 今回サーミスタの熱結合部分は、気合を入れてみましたた(^^;;。ここの熱結合はアンプの安定度にダイレクトに関わるのですが、現行で手に入るサーミスタが平面性が悪く、しばしば熱暴走の原因になってきました。以前、札幌の知人でNif時代にじゃんくやさん、のペンネームで活躍されたMさんから助言を受けまして、熱結合に優れた加工法を試してみました。上の画像を見ると一目瞭然だと思いますが、サーミスタの片方の足を取って、金属片をハンダで接着し、リード線を取り付けます。 金属片は加工性に優れ、電気的特性もまずまずな燐青銅板(0.3t タカチ扱い)を切り出して、ハンダ用の穴を空けました。 　サーミスタ側は塗装を剥がし、足の根元のハンダの盛り上がりをコテで溶かして片方の足を取り外します。ここで重要な点は、サーミスタのハンダは、金属片を取り付ける際の予備ハンダとして、出来るだけ残しおくという事です。ハンダが取れてサーミスタの下地が見えてしまうと、二度とハンダがつかなくなってしまいます。 　続いて金属片の穴をサーミスタ側のハンダにあわせて、上から低温ハンダを流してサーミスタと金属片を固着させます。ハンダ時に金属片の上から押さえつけるか柔らかめのクリップ等で挟むかして、サーミスタと金属片を出来るだけ近づけるように留意します。ハンダ作業は手早く行って下さい。
	最後に、金属片の上の盛り上がったハンダをやすりで削ぎ落として平面を出して、リード線を取り付ければ加工完了です。完成したサーミスタの抵抗値を測りながら指で触って、温度変化による抵抗値の変化を見ながら、サーミスタにダメージが無いかチェックしましょう。 　完成したサーミスタは、K2554の上にエポキシ山盛りで固定するのですが、金属片と2554の表面に隙間が出来ないよう、押さえつけながら固定すると良いと思います。サーミスタ固定と、山盛りでサーミスタを覆うのとで、2回に分けて作業すると良いかもしれません。 　今回のサーミスタ加工の効果は絶大で、ON直後からのオフセットの変動は僅か5mV以内に収まりました。勿論、初段と終段の厳密な選別の効果も入っていると思いますが・・・ 　あと今回のサーミスタは手持ちの都合で日立の220Ωを使いました。特性が少し違うようでパラの抵抗はを回路図の330Ωにすると、温度補償過多と思われるアイドリングの増減を繰り返してしまいます。最終的には240Ωに変更して程良い安定性を得ました。 ケースの加工は最近の主流の放熱器むき出しタイプではなくて、サイドパネル埋め込み型です。放熱器のTF1312の高さと、ケースのOS-133-32-43の側版のはめこみ板がほぼツライチなのを利用して、放熱器にネジ穴をあけてアルミフレームを直接固定しています。薄くて鳴き易いサイドパネルを使わなくて済むので気に入っている使い方ですが、ケースの金具が使えなくなるので、フロントパネルに穴をあけてキャップスクリューネジ4個で、フロントとサイドの放熱器を固定します。キャップスクリューネジはフロントパネルのアクセントにもなっていますね。又、放熱器の長さが微妙に短いので、2個の放熱器の隙間をアルミのめくら板で塞いでいます。 　ワイヤリングは、金田先生推奨の最短配線ではなく、調整時にメンテし易いように、ある程度の余裕を持たせた配線です。画像右上のように軽くバラしながら、調整が可能です。これは初めて就職した会社で叩き込まれたので、癖になっているのです。	その他使用パーツとして入力にはスーパートロン、出力にはトリテックを使用した。トリテックはCU-T40を使用したが、シャーシー用のCU-T80の方が良いと思う。電源のインレットにはメタルコンセントを使い、プラグはCPの高い松下の医用プラグを使った。インレット無しで直結の方が音は良いのは判っているのだが、今回はとり廻しのし易さを優先した。
	画像のうちアルミ色のケミコンはご存知ニッケミPW。手前真中よりKMH KME GW。右上は最初に使用予定だったエルナー・シルミック。耐圧・容量がバラついているので、試聴結果はあくまで参考という事でお願いします。	ます(^^;;。但し、基板からパワーMOSに行くラインは最短にします。LED関連も取り外し易いように一旦ターミナルを介していますが、これは6Pの汎用コネクターを見繕った方が良かったかもしれません。 　回路図・画像では判りませんが、シャーシーの1点アースに全てのアースを集中させる、所謂スター配線を試してみました。アース処理による音の変化は? ですが、ハムは無いのでとりあえず悪くはないようです。駄耳なのか、回路が強靭なのか、恐らく後者だろう、と自分に言い聞かせる事にします(^^;;	▲TOP ●HOME
	・試聴詳細 　丁度良い機会でしたので、以前から懸案だった電源用のケミコンの比較を行う事にしました。今までの経験では金田先生のご指摘通り、高価なオーディオ用ケミコンが金田式には必ずしも良い結果にならず、工業用のケミコンの方が素直でバランスが良好な事が多く感じます。これは最初に使用予定だったシルミックを試聴して痛感したのですが、分解能の高く見通しの良い中域、粒立ちの良い高域、といったオーディオ用ケミコンの特徴が浮き立ってしまい、いつまで経っても馴染んでくれない、という感じでしょうか。目立った癖が無くていつまでも安心して試聴出来る金田式の特徴が薄れて、音の美点に慣れると飽きてしまったり、逆に癖として感じるような気がします。結局オーディオ用ケミコンはお蔵入りにして、手持ちの金田印のニッケミの工業用ケミコン群から選ぶ事にしました。比較試聴では違いが割と出るものの、どのケミコンも長期試聴では音質差を気にする事無く使える銘柄だと思います。 ・GW これはラ技の別府氏のお気に入りだったケミコンですね。金田式での使用例は無いと思いますが、今までの経験から、金田式に使っても良いケミコンと思っています。 今回改めて試聴しましたが、高域は後述するPWに近いキレの良さを持つものの、少々荒めに出ます。低音が比較的良く出て、一聴するとドンシャリ音にも聴こえるので、人によってはフイルムコンをパラりたくなるかもしれません。音場は前に出る方です。今回試聴しませんでしたが、後継と思われるKMも似たような音質との事です。 ・PW 長らく金田式のスタンダードとして使われたケミコンですね。一聴してキレの良い音、広大な音場、ケミコン界のSEコン? と思わせるようなニュートラル感が素晴らしいです。ウィークポイントは低域か? 後述するKMHより低音は薄く感じます。 今回使ったPWは、定期的に電圧をかけて特性を維持してきたものだったのですが、使用直後は曇った芳しくない音で、やはり古いケミコンは駄目か、と失望したのですが、30分程度のエージングで見事に復活しました(^^)。ケミコンの自己回復力は素晴らしいです。 ・KME 今回最初に使用予定だったケミコンです。他のニッケミのケミコンと同様の素直さがありますが、比較試聴ではちょっと大人しく、低音が不明瞭に感じます。音場はちょっと引っ込む感じですが、きめの細かさはあります。賑やかな音が嫌いな人にはお勧めかも。試聴はしていませんが、後継のKMGも似たような感じとの事です。 ・KMH パワフルで音に力感がある音、と一聴して感じます。PWと比べても、音の躍動感では勝っているように感じます。もしかしたら新品に近いケミコンの良さかもしれません。音場はGWと一緒で前に出てくる方です。PWは良品の入手が難しいと思うので、新規購入はKMHが良いのではないでしょうか。 　という事で今回のアンプでは、無難な線でKMHという選択に落ち着きました。というか、PWは大きすぎて入りきれません(^^;;。この状態でアンプをくみ上げて当方宅のスピーカー(D-55 FE-208SS T-500A)で試聴に入りました。(以下工事中)		▲TOP ●HOME